「いっくん、知ってる? 悪いことをしないで良い子にしていれば、わたしたちは一生に一度だけ、魔法を使える――奇跡を起こせるんだって。
 どんな願いも叶うのかなぁ。どんな奇跡でも起こせるのかなぁ。
 わたしたちは一体いつ、どんな魔法を使うんだろう。
 どんな奇跡を、起こすんだろう――」

 世界を超えて、時間を超えて、繰り返される奇跡の物語。誰もが知る、御伽噺にして昔話。光を抱く信心深い人々に、神が授けた一度きりの奇跡。

 少年は願う。あの日の少女との再会、ただそれだけを。
 やがて歪んだその願いが、決して叶わないと知りながら。


   *


「月峰君! 大好きです私と付き合ってっ!」
「俺、他に好きな人いるんで」
 勢いよく告げられた言葉を、表情を浮かべずに一刀両断する。告白してきた少女は、やっぱりとでも言うように肩をすくめた。
「月峰君も頑張るねー、毎日毎日。そろそろあたしに付きまとわれるのが面倒になってついオッケーしちゃう時期かと思うんだけど」
「北見さんもよくやるよな、毎日毎日。断られると分かっていながらも俺に付きまとってくるそのストーカー根性は最早尊敬に値する。真似したくはないけど」
「あっはは、月峰君ってば毒舌〜。でもそこが好き」
「相変わらず、一度精神科に行った方が良いレベルの異常な嗜好だな」
「うん、無表情で言われると本気だって錯覚するから笑顔で言ってほしいなぁ」
「本気なんで。……じゃ、俺は用事あるから」
「それいつもじゃん、たまにはサボって遊ぼうよー」
「いつものは口実。今日のは本当に用事」
「さらっと酷いこと言われたぁ!」
 彼女の声が大きいためこの会話はクラス中に訊かれているのだが、止めようとする者は誰もいない。
 それもそのはず。彼女が俺に告白し、俺がばっさり断るというこのイベントは、毎日行われているものなのだ。わざわざ間に入る馬鹿など、今となっては現れなかった。
 うぅ、と落胆の素振りを見せる彼女を放って、俺は教室の外へ出た。


 感情を表情として浮かべることが出来なくなったのは、いつからだっただろうか。
 そう考えると、俺の考えはいつも同じ場所……大切なものを失った、冬の夕暮れに至る。
 あの時まで、俺の隣には常に『彼女』がいて。
 あの時を境に、俺の隣から『彼女』は消えて。
 けれど幼い俺は、それを認められなかった。二度と会えないのだと、心の奥底では理解していながらも、それを受け止めることを拒否した。
 泣くことも悲しむことも出来ず、俺の表情は凍っていき……残ったのは表情の凍りついた、無感動な一人の少年だけだった。


   *

「あら、樹君?」
 静かな墓地に響いたその声に振り返ると、見慣れた女性が立っていた。彼女に良く似た顔立ちのその女性に、俺は頭を下げる。
「お久しぶりですおばさん、お元気そうで何より」
「樹君もね、格好良くなったわ」
 実年齢よりずっと若く見える容姿に、けれど隠しきれない哀しみと疲労を滲ませて……俺に微笑みかけるその女性は、かつての幼馴染の母親だった。
「毎年来てくれてるんでしょう? お礼も出来なくてごめんなさいね」
「いえ、俺が勝手にやっていることですし」
「そう……あの子も、きっと喜んでいるわ」
 そんな言葉に、俺は俯く。
「……恨んでると、思いますよ」
「え?」
「目の前で自分が死にそうなのに、何も出来なかった俺を。……あいつは、怒って、恨んで、憎んでいると思いますよ」
「そんなことは……」
 首を横に振る女性は、けれど否定しきれないように俯いてしまう。


 彼女のことが好きだった、それは確かだ。
 けれどそれが本当に恋愛感情だったかどうかなんて、今となっては判断しようがない。当時まだ小学校に上がって間もなかった俺に、彼女に、愛することの意味が分かっていたはずもない。
 そう、所詮子供の、ままごとのような『好き』という感情。だからこそ、それは彼女がいなくなったときに無くなって当然のはずだった。
 しかし今、彼女の死は俺を縛っていた。
 忘れようとすれば、閉じた瞼の裏にちらつく。眩しすぎるほどの車のライト。高く宙に浮く彼女の身体。地面に叩き付けられる彼女の肢体。道路に咲く紅い華。脱力し横たわる彼女の死体。
 忘れられないのはきっと、彼女の怒り。彼女の恨み。彼女の、憎しみなのだろう。
 目の前で起こったそれを、止めることも出来ず……呆然と眺めているだけだった、幼い俺への。
 だから俺は、ずっと待っていたのだ。
 贖罪の機会が訪れるのを。
 今日という日が訪れるのを。
 ……彼女がこの世を去ってちょうど十年目の、この日が訪れるのを。

   *

「ねえお兄さん、何をしているの?」

 そんな声が聴こえたのは、墓地を後にして道を歩いている、その最中だった。
 背後から聞こえたそれに思わず振り返ると、そこには予想通りの、小学校低学年くらいの少女。
 ……そう、どこにでもいるような、黒い髪に黒い目の、平凡な少女。将来は美人になるであろう可愛らしい顔立ちだが、それだけ。
 なのに、何故だろう。一瞬、少女を恐ろしいと感じた。
 恐怖とは違う。ただ怖いだけじゃない。
 そう、例えるならばそれは――畏怖。
 ……畏怖? この幼い少女に?
「お兄さんってば、返事してよぅ」
 少女の声に、俺は現実へと引き戻される。子供相手であっても凍りついたままの表情で、少女を見る。
「ようやくこっち向いてくれた! ね、何してるの、お兄さん?」
「息」
「あはは、女の子に冷たくしちゃ駄目だよー?」
 面白そうに笑い、少女は唐突にその笑顔を俺に向ける。


「それでね、お兄さん。その手に持ってるもの、何かな?」


「っ!」
 その問いに、直感した。
 この少女は、こいつは知っている。俺が何を持っているのか、どこに行こうとしているのか、何をしようとしているのか知っている……!
「それは誰の髪留め? ねえ、誰に聴いたの? それを持って願えば持ち主である彼女を蘇らせられるなんて、一体誰が言ったの?」
 矢継ぎ早に訊ねてくる少女に、だけど一言も返せない。
 誰? そんなこと、知るものか。
 ただ、彼女が赤い華を咲かせたあの時、囁きかけてきた声があっただけ。

 ――別れを受け入れてしまっていいの?
 十年待ちなさい。十年後の今日、この時間まで。
 そして願うの。奇跡の女神に。この子がこの世界に戻ってこられますように、って。
 今すぐには無理だけど、十年も経てば……
 そうすれば彼女もこちら側に戻る力を取り戻せるわ。
 辛いでしょう? 彼女のいない世界は。
 悔しいでしょう? 彼女を守れなくて。
 苦しいでしょう? 彼女がいなくなってしまって。
 ここで終わりなんて嫌でしょう?
 だからほら、その子の髪留めを取りなさい。十年後の彼女の、道標となるように――


「ねえ、気付いてよお兄さん。出来るわけが無いの。生者は向こう側にはいけないし、死者は戻っては来られないの。女神にもどうすることも出来ない、世界の理なの」
 少女の声が、段々と理解出来るようになる。
 思い知る。今まで俺を動かしていた衝動が、間違いであることを。この少女が必死で訴える、それこそが正しいことを。
 彼女を蘇らせたい、その願いが叶わないものだと。
 けれど。今、理解する。理解した。
 違う。
 俺が、本当に使うべき魔法は。
「……俺は」
 俺は呟くと、走り出した。
 少女が立っているのと、反対の方向。当初の目的地。
 町のはずれにある、教会へと。

   *

「……あの子はもう大丈夫、ですね」
 少年を見送り、少女は呟いた。幼い外見に似合わぬ、大人びた口調で。
 その髪が伸び、色を変える。瞬きする間に身長も伸びて、瞳の色もまた変わる。
 服はどこにでもいるような子供のものから神秘的な装束へと変わり、少女を包んでいた人ならぬ雰囲気はより強くなって女性を包む。
 幼子の姿は消え去る。その代わり、この世のものとは思えないほどに美しい女性が、そこにはいた。
 ――否、その表現はある意味当たっているのだろう。
「願いを叶える資格、奇跡を起こす資格が与えられるのは、光を抱くものだけ……稀ではあるけれど、闇に魅入られ、光を忘れ、その資格を剥奪される者もいる」
 哀しげに、女性は嘆息する。
「彼らはやがて、人でありながら、人の身を超越してしまう。女神の名を騙り、人々を自分と同じ存在に堕とす魔へと成り果ててしまう……絶望していたかつての月峰樹に、甘い言葉を囁いたように。いとも容易く、人に罪を犯させてしまう」
 少年の走り去った方向を眺め。
「けれど、彼は思い出した。唆される前の、一番最初の願い。余計な装飾の無い、本当の願いを。
 だから、私は叶えましょう。
 貴方の奇跡を、起こしましょう」
 女性は――奇跡の女神と呼ばれる彼女は、その顔に微笑を浮かべた。

   *

 人が一生に一度の奇跡を起こすとき、場所は関係ないとされる。
 が、出来れば教会や神社など、女神が降りて来やすい場所が望ましい。
 学校の授業で、俺はそう習ってきた。ああ、確かに女神だって、自分が祀られている場所の方が力を発揮出来るのだろう。
 そんな理由もあって常に明かりが点いているこの教会には、しかし今は誰もいなかった。
 その中央で、彼女の髪留めを握りしめる。
 もうあの声は聴こえない。耳元で囁く、絡みつくような悪魔の声は、もう聴こえてこない。
 代わりに浮かび上がってきた、最初の願い。狂おしいほどの衝動に押しつぶされ、浮かび上がってすぐに沈んでいた、純粋な祈り。

「魔法の祖、奇跡の女神クローディアよ」

 意外なほどすんなりと口から出た、それは魔法の言葉。一生に一度の奇跡を起こしてほしいと、女神に語りかける言葉。
「ようやく思い出しました……あの時、貴女に叶えてほしかった願い。今、貴女に叶えてほしい願い。
 生き返ってほしいなんて、そんなことは望まない。蘇る必要なんてない。ただ、少しだけ言葉が交わせれば、それで良かったんです。
 ……だから」
 上げた視線のその先に、微笑む女神の彫像。
「女神よ、どうか叶えてください。

 もう一度だけで良い、彼女と話がしたい。それが、俺の魔法です」

 失敗か、と一瞬体が強張ったのは、話に聴いていた現象が起こらなかったからだろう。
 願いが叶ったとき、人は女神の声を聴くのだと。願いを叶えたと告げる女神の声が脳裏に響くのだと。けれどそれが聴こえないことに、俺は焦って顔を上げる。

 ……視界に、彫像の前に立つ、一人の女性が映った。

「この姿では初めましてですね、月峰樹」
「ま、さか……クローディア、様?」
 掠れる声で、問いかける。だって、そうだろう。女神が直々に会いにくるなんて、普通は思わない。
 だが、彼女は――人ならぬ美しさを持つその女性は、背後の彫像と全く同じ姿の女性は首肯する。自分こそが奇跡を起こす女神であると、認める。
 本来なら、すぐに跪くべきだろう。だが俺は、ふと引っ掛かりを覚えて彼女を見つめ返してしまう。
「あの。……どこかで、お会いしましたか? さっきも、この姿では、って」
「ふふっ」
 彼女は笑い、突然悪戯っぽい口調で一言。
「私の言ったことを聴いてくれてありがとう、お兄さん」
「っ!」
 紛れも無く。……さっき出会った少女の声だった。俺を引き戻してくれた、彼女の。
「知らないうちに、助けられていたんですね……感謝します、クローディア様」
「いいえ、貴方を唆したモノたちを止められなかった私にも非はあります。そう恐縮しないで。……さて、そんなことより、早く貴方の願いを叶えましょうか」
「叶うんですか?」
「もちろんですよ。さぁ、おいでなさい」
 微笑む彼女と俺の間に、俺に背を向ける形で浮かび上がる影。……いや、影というのは正しくないか。光で形成された、人影。背丈は俺の半分ほどしかない。
 やがて光が消えると、……十年間ずっと想い続けた彼女が、ゆっくりと振り向いた。

「いっくん」

 懐かしい、彼女の微笑。それを見た瞬間、俺は少女を抱きしめていた。すり抜けることも予想していたが、今の彼女は幽霊とは似て非なる存在なのか、しっかりと実体があった。
 少女の細い腕が、俺を抱きしめ返す。彼女の表情は見えないが、くすりと笑うのが聴こえる。
「事情を知らない人が見たら、いっくんがロリコンにしか見えないね」
「……同い年なのになぁ」
 十年ぶりに、苦笑を浮かべる。凍りついていた表情が、少しずつ溶かされていく。
 同時に、思い出す。彼女といられる時間は限られている。言わなければいけないことが、俺にはあっただろう!
「あ、あのさ。……ごめん」
「え?」
 唐突の謝罪に呆ける彼女に構わず、続ける。
「あの時、何も出来なくて……助けてやれなくて、ごめん」
「……あのねーいっくん」
 呆れたような声。見下ろすと、幼馴染様の表情も思いっきり呆れたそれだった。
「あのときのいっくんは六歳でしょ? 助けようとしたら一緒に死んじゃって終わりだったよ。それよりもいっくんが生きていてくれて、私は嬉しい」
 微笑む彼女を見て……俺は決意する。もう一つ、言うべきかどうか迷っていたことを、告げようと。告げればきっと別れが辛くなるけれど、それでも確かめようと、口を開く。
「まあ、そんないっくんだから好きになったんだけど、ね」
 だがその言葉は、先に彼女の方から放たれた。
 驚いて見下ろすと、彼女はふわりと笑う。全て分かっている、とでも言うように。
「あのね、わたしもいっくんに言いたいこと、あったんだ。あの時のわたしは、まだ恋の意味も愛の意味も分かっていない、幼い子供だったけど。
 それでも、いっくんのこと、大好きだったよ」
「俺も、そうだ。大好きだった。ずっと一緒にいたいって、そう思ってた」
「うん、ありがとう」
 本当に嬉しそうに、彼女は笑う。
 ああ、だけどそれは最早、女神の力をもってしても叶わない願いなのに!
「あのね。いっくんがそう言ってくれただけで、わたしは十分嬉しいの。だからね、いっくん。もう、わたしに縛られなくて良いんだよ」
 それは何よりも優しく、
 ……何よりも残酷な、決別の言葉だった。
「もう、わたしのことをずっと思い続けなくていい。
 たまに思い出して、懐かしんでくれれば、それでいい。
 だけど、もうわたしに縛られないで。普通に他の誰かに恋をして、普通に笑って、普通に泣いて――
 そうして、わたしの分までこの世界を満喫してくれたら、凄く凄く嬉しいな」
「……っ」
 十年ぶりに呼んだ彼女の名前は、けれど呻き声のように押し殺されて。
「さようなら、いっくん。私のために魔法を使ってくれて、ありがとう」
 現れた時と同じように、彼女は溶けるように消えていった。

 ……やがて、俺は立ち上がった。彼女と話しているときにはいなくなっていた女神が、気付けば隣にいて……気遣うように、俺を見ている。
「クローディア様。……ありがとう、ございました。彼女に会わせてくれて」
「……願いを叶えた後に幸せになれるかどうかは、その人次第です。私が奇跡を与えた人たちの中には、そのせいで全て失ってしまった人もいた。けれど彼らの中には、そこからまた這い上がった人たちがいる……」
 悲しげな表情で、女神は俺の方を振り返った。
「貴方と彼女の結末が最善であったとは、私には言い切れません。けれど……覚えておいてください。彼女を想う貴方の心は、私を呼び寄せるほどに強かった。その力で、どうか」
「ええ、生きていきます。彼女の分まで、この世界で。いつかまた再会した時に、自慢してやれる程度には幸せに」
 俺の言葉に対し、何も言わず優しげに微笑み、女神は浮かび上がる。
「貴方の奇跡は終わりました。もう会うことは無いでしょう。けれど、忘れないで。私はいつでも、貴方たちの傍にいます」
「ええ、知っていますよ。本当にありがとうございました、クローディア様」
 その言葉を聴いて、女神は優しく微笑み――
 瞬きした瞬間、そこに彼女の姿は無く。
 ただ無数の羽だけが、舞い散っていた。
「室内だってのに……女神というより天使だな」
 それを一枚、拾い上げて。
 俺は、苦笑交じりに嘆息したのだった。



   ***



「月峰君っ! お願いします付き合ってください!」
「今日は下手に出ることにしたのか……似合わないな」
 思わず笑うと、彼女はぽかんと口を開ける。
「どうかしたのか、北見さん? 今日も懲りないな」
「つ、つ……月峰君が笑ったあああああああああああああ!」
 まるで化け物にでも遭遇したかのように絶叫する彼女。
 ……流石に酷いと思うのだが、その言葉にクラス全員が寄ってきた。
「て、天変地異の前触れか? 地球はもう滅ぶのか?」
「違うわよー、だったら流石の月峰君もこんな晴れやかな表情はしないって! これはむしろ何かに取り憑かれてるんじゃないかしら!
「月峰君って笑うと格好良いね、凄く好みかも」
「ちょっ、あたしの月峰君に手ぇ出さないでよー!」
「まだあんたのじゃないでしょ? 連敗おめでとう!」
「酷〜っ! ねえそういえば月峰君、今日は好きな人がいるからっていういつもの断り文句聴いてないんだけど! もしやオッケー? オッケーなの?」
「まさか」
「鬼いいいいいいいいい!」
「連敗おめでとう!」
「二回も言うんじゃないっ!」
 何故か俺の席の周りで騒ぎ始めるクラスメイトたちを見て、今更のように知る。こうしてクラスメイトと戯れることすら、十年ぶりであることを。
「……そう、だな」
 クラスメイト達に聴こえないよう、俺は呟く。


 今はもう彼女のいない、空虚なこの世界だけど。

 一歩ずつ、歩いていこう。
 いつか彼女に再会した時に、胸を張れるように。

 それが、彼女の願いなら――彼女を想いながら、彼女を忘れて生きて行こう。
 十年前と変わらずに俺を諭してくれた、彼女のためにも。
 起こりえないはずの死者との再会を、叶えてくれた女神のためにも。



 遠くで、彼女が嬉しそうに笑ったような、そんな気がした。




   ***




 少年の奇跡は、少女との再会。
 生と死の理は曲げられずとも、その程度の奇跡ならば、女神には容易く叶えられた。

 少年は、歩み出そうとしている。
 少女を想うこと、忘れること、相反する二つの感情を同時に抱いて。
 その重みを、どこか心地よく感じて。

 けれど奇跡を願う人々は尽きず。
 ゆえに女神は奇跡を起こす。
 自らに叶えられぬ、大きすぎる願いの存在を知りながら。
 その代償として、生み出された闇の存在を知りながら。

 人を変え場所を変え、世界すら変えて、
 奇跡の物語は、また紡がれてゆく。

2011/08/18
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